平成13年3月16日

文京区景観審議会委員殿

日暮里富士見坂を守る会 代表/金子誠
富士見坂眺望研究会 代表/千葉一輝





日暮里富士見坂の眺望保全に向けてのご審議のお願い

拝啓 向春の候、委員の皆様におかれましてはますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
 私どもの会は荒川区西日暮里にある富士見坂からの眺望を保全・再生することを目的として活動を行っております。昨年の4月に、都心で唯一地上から全貌が見えていた日暮里富士見坂からの富士山の眺望が、文京区本駒込に建設されたワンルームマンションによって左側の稜線が隠されてしまいました。私どもはマンション業者に対して、再三に渡り階高を下げるようにお願いしてまいりましたが、ご理解いただけずにこのような結果となってしまったことを大変残念に思っております。私どもの会といたしましては、今後これ以上の眺望破壊が進行することのないように、各方面に働きかけてはおりますが、計画が公表されてからの事業者に対する要請だけでは限界があります。このため富士山への眺望保全につき、文京区景観条例による行政上の位置づけをご審議いただきたく、委員の皆様に本状を送付する次第です。
 都心部に16ある富士見坂は、近年の高層化によって急速にその眺望が失われています。文京区にも富士見坂は4ヶ所ありますが、護国寺付近の不動坂から稜線の一部が僅かに見えるだけとなってしまいました。現在、日暮里富士見坂のみが山頂および右側稜線を望むことができ、マスコミ等でも都心部で唯一眺望が残された富士見坂として頻繁に取り上げられております。これは富士見坂の景観が、日暮里という一地域のみならず東京都においても、かけがえのない歴史的な風景遺産としてとらえられる時代になったためと考えられます。日暮里富士見坂は荒川区にありますが、一方主な建設地は文京区であるため、昨年5月には荒川区議会議長より、煙山文京区長に眺望保全の要望書が提出され、6月には区長より「可能な限り荒川区における取り組みに協力する」という回答を戴きました。21世紀においては、眺望を主要な視点のひとつとしてまちづくりを行っていくことは大変重要なことであります。世論の状況や市民の盛り上がりに基づいて計画や指針、ガイドラインを柔軟に改正してゆくことが景観条例の実効性にもつながっていくと思われますので、富士見坂からの眺望保全について是非ご検討いただきたく存じます。
 また、たとえ景観条例における位置づけがされたとしても、あくまでもお願いの指導に留まり、法的な高さ規制の担保制度ができるまでの間は地権者の理解と協力が必要です。地権者の資産保全について配慮することも欠かせないため、私どもの会としましては様々な手法の検討を行いつつ、地権者へ理解を求めていくことを考えております(新たな調査によれば、当面は容積率の高い不忍通り及び本郷通り沿いの、わずか6人の地権者にご理解いただければ眺望保全が可能です)。
 以上のような趣旨をお汲み取りいただき、審議会の場において条例化を含めてご検討いただきますよう宜しくお願い申し上げます。

敬具

添付資料:日暮里富士見坂を守る会パンフレット

(連絡先 谷根千工房 山崎 3822-7623)


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