2000年3月10日

東京都知事 石原慎太郎様

日暮里富士見坂を守る会

日暮里富士見坂眺望保全のお願い

 「日暮里富士見坂の眺望保全」について、重ねて要望いたします。
 私どもは、東京に唯一残った富士山の全景が望める富士見坂 (荒川区西日暮里3丁目7〜8の境) の眺望を、次代に伝える活動をしています。
 すでに資料をご送付させていただいておりますが、日本鋼管不動産(株)が本駒込に建設中の建物が、日暮里富士見坂からの富士山の眺望を阻害する事態になっております。
 この建物は文京区本駒込3丁目1-1、敷地242平方メートル、13階建て(38.43m)のワンルーム分譲マンションで、現在7階までの鉄骨が立ち上がり、その様子は新聞・TVなどでも伝えられています。
 日暮里富士見坂の眺望は、研究者によって詳しく調査報告され、本郷通り沿いでは9階までの建物ならば富士山の眺望が保全されます。昨年末より、日本鋼管不動産に対し、9階への高さの変更を重ねてお願いしてまいりました。しかし、計画の変更は損益金の支払い (4億5千万円)、或いはビルの購入 (総事業費12億円のまま) 以外には考えられないとの御返事でした。残念ながらこの金額は私どもの手には負えません。

 富士山は江戸以前より信仰の対象でありました。昭和40年頃までは23区内でも地上から富士山を眺望することが出来ましたが、次々と富士山の眺望場所は消滅し、とうとう江戸市内に相当する範囲の足下から富士山を眺望できるのは、日暮里富士見坂が最後の場所になってしまいました。東京都が「残したい景観」とした日暮里富士見坂からの富士山の風景は、現在の東京都の景観条例では救うことが出来ません。しかし、私どもは東京と富士山をこの細い眺望軸で未来につなぎ止め、風景遺産として次世代に継承してゆきたいのです。今回、この保全を実現させることができれば、金銭におきかえられない質の高い価値を、21世紀に手渡す第1歩となると確信します。

どうかお願いです。このビルを買い取っていただける、行政機関・企業・財団をご紹介ください。この問題を先送りにされませんよう、重ねてお願い申し上げます。

日暮里富士見坂を守る会
(代表小川幸男 : 荒川区西日暮里5丁目町会長)


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