平成12年3月24日

日暮里富土見坂を守る会
代表小川幸男様

日本鋼管不勒産株式会社
代表取締役社長      
池田雄一          

弊社建築中マンションの最上階上棟に関する弊社見解について

 文京区に建設中の弊社マンション(以下、本事業という)が、約1.5km離れた場所にある荒川区日暮里富士見坂からの富士山の眺望を阻害し、西側稜線が見えなくなってしまうという問題(以下、本問題という)については、昨年12月末発足の貴会(以下、守る会という)より、平成12年1月14日付で階数削減の要望書が提出され、以降計3回にわたり話合いの場を設定してまいりました。守る会のご要望、即ち「13階計画を9階に階数削減し、弊社が損害を負担して景観保護の先駆者になれ」とのご主張に対しては、着工後での変更による損害額も膨大であり、弊社としてはその負担に耐えられない旨、誠意をもってご説明に努めてきたところですが、残念ながら、守る会においてご理解いただけないため、一貫して平行線の話合いのままで終わることは極めて遺憾であります。
 話合いによる双方の接点が見出せない以上、弊社としましては工事を進行させていただく他なく、具体的には現在8階までの鉄骨が4月上旬に13階の最上階まで上棟されることとなります。
 弊社が工事を進行させていただくにあたって判断した諸点を以下に記しますので、ご理解を賜りますようお願い申し上げます。
 尚、「解決策を見出すまで工事を中断せよ」との守る会のご要望もございましたが、弊社としては、話し合いの合意を得られる保証のない中で、無限定に工事中断を行うことはできません。その点、悪しからずご了承下さるようお願いいたします。

1. 本事業の建築計画は、別記[参考]に記載のとおり,建築計画の事前掲示からスタートし、適法適正に平成11年10月26日に着工いたしました。本問題に関しては、以前より現守る会メンパーによる建築計画の監視活動が実施されていたとのことですが、弊社の着工前段階の時点では、守る会からは一切のご指摘もありませんでした。工事を着工した後の守る会からのご指摘は、弊社にとってまさに「寝耳に水」「晴天の霹靂」でありました。
2. 別記[参考]に示す関係行政からの問合わせに対しても、経過報告のご説明をしてまいりましたが、行政からは、本件の場合、適法に事業を推進している事業者に階数削減を指導する立場にはないという趣旨のコメントをいただいたことにあわせ、守る会との話合いを継続していることを評価されました。
3. 4層の削減を行った場合の試算では、4億5千万円という多額のマイナスが発生することが明らかとなりました。これは、着工後では、殆ど工事費の削減ができず、売上収入のみ減額となることからで、本事業は大幅な赤字事業となります。
その大幅な赤字を取り戻すことは、弊牡規模の企業にとっては到底無理なことであります。
また弊社は、売上高、利益率ともに悪化傾向にある厳しい事業環境下にあり、既に収益基盤再構築のための経営方針を決定しており、雇用にも手をつけざるを得ない状況にある中では、一人でも多くの雇用確保を優先することは経営の使命でもあります。
4.因みに、親会社による負担等を要望されましたが、本事業は弊社の経営責任で行っています。また、親会社ができることは株主としての権利の行使であり、違法な場合はともかく、子会社の適法な事業活助に親会社が指導し、また負担するということはできないものと理解しています。
5. もとより、日暮里富士見坂からの眺望l純粋な思いで愛され、貴重なものとして保存したいというご要望は、弊社としても理解するものであります。
しかし、こうした景観を守るための実効性ある方策については、適法に事業を行っている事業者に負担を強いるのでなく、法律、条例等の立法的措置が不可欠ではないかと思料いたします。
6. 弊社としては、今後の開発事業の推進にあたっては、従来以上に注意を払ってまいる所存です。

以上

[参考]
1. 当該マンシション計画(概要)
所在文京区本駒込3-57-1他、敷地面横242u(約70坪)
戸数58戸、高さ38.4m(地上13階)

2. 法的手統きの経緯
@建築計画(お知らせ看板)掲示 平成11年8月6日
A行政関係部署との事前協議 平成11年8月6日〜9月初
B近隣説明会平成11年8月27日、9月20日
C建築確認申請・確認済証交付平成11年9月7日・9月24日
D建築工事着工平成11年10月26日(竣工:平成12年12月末 (予定))

3.守る会との話合い
1) 第1回目 平成12年1月21日
2)第2回目 平成12年2月4日
3)第3回目 平成12年2月16日
4) 第4回目 3月上旬の話し合いが、守る会側のご都合で延ぱされている中、守る会は3月13、14両日にわたり親会社への直接訪問、ビラまきという行動に出られた。弊社は、守る会に対して、こうした話合いのルールを無視した行為に抗議しました。

4. 関係行政からの問合わせに対する説明
1)文京区都市計画部平成12年2月18日
2)荒川区建築環境部平成12年3月1日
3)東京都公園縁地計画課平成12年3月8日


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